絲se(いとせ)Blog

手招き五十音

【Book6】詩人の塩梅【ウマし】

伊藤比呂美『ウマし』(2018年・文庫版2021年/中央公論新社)

『パパはごきげんななめ』(伊藤比呂美さんと最初の夫さんの共著)を読んだのは学生時分
その頃は、出産子育てというものはいつか多分やってくるもの…コワいような、だが生物として通るのであろう道…未知への興味本位
『良いおっぱい悪いおっぱい』は読んだか読まなかったか?当事者になったアカツキに改めて、と思った記憶がある
あららー、時はあっという間です
結局その道を通ることなく今に至る

すべて世は事もなし
この春、地下鉄で移動する時間に開こうと、気軽な気持ちで伊藤比呂美さんと再会

一言でいうと食にまつわるエッセイ
一言でいうなら面白い!
詩人の塩梅こそ「ウマしウマし」でページをめくる手がほかほかしてくる

あとがきの一文

もしや食べ物とは、食べ物のふりをしているが、ほんとは何か別のものなんじゃないか。別のものとは一体なんだろうと考えていっても、よくわからない。もしかしたら自分じゃないかという気さえ、しきりにする。
もしかしたら自分じゃないか。

食べると読むはどこか似ていて
読み終わる頃にはわたしも
混ざり合ういのちの湯気に合流していた

合流してみると、誰もが個人と非個人の体現者だと思った
もっと早く伊藤比呂美さんと再会してたらよかったなァ
うん、でもタイミングは今だったんだろう
これからハマろ

Circle of Life[life] picture from Flickr, Thank you