手招き五十音

シンクロを愛で、すべてをことほぐ

【book4】言の葉こもれび【机の前に貼る一行】

最寄りの図書館、返却コーナーに向かう導線上にテーマ展示が設けてある
先日その中に「ひきた先生」の著書を目にし、迷わず手に取った

ひきたよしあき氏は1960年兵庫県生まれ、博報堂に勤務ご尽力され、大学はじめ各種講師と執筆業でもご活躍中
わたしも授業を受講したことがあり(動画学習サイト「Schoo(スクー)」)、お声や笑顔を存じ上げていた

『机の前に貼る一行』(2017年)は「朝日小学生新聞」での連載をまとめたもの
少年ひきた、人生の先輩ひきた、職業人ひきた、詩人の魂ひきた…いろんな面をミックスしながら案内する81の「言の葉」とコラム4つを収録

“人の心を種として”
机の前にこの言葉を貼りましょう。
平安時代の歌人、紀貫之の言葉です。
彼は「古今和歌集」の初めにこう書きました。「和歌は日本人の心です。人の心を種としてさまざまな言葉になります」
すてきですね。「心」という種をまくと、「言の葉」という葉っぱが出てくる。毎日、目にはさまざまなものが映り、行うこともいろいろあるけれど、その時々に、心の種を言葉に育てましょうと書いています。
では「心の種」はどこにあるのでしょう。それを知るために日ごろ使っている漢字を見てみましょう。例えば・・・

連載は毎回「必ず返事を書くからね」との呼びかけで結ばれる

「心の種」をいっぱいまきましょう。それが「言の葉」に育ったら手紙をください。必ず返事を書くからね。

そして実際に読者である子ども達から手紙が来る
多い時は週に90通にもなる
その一通一通へ返事を、手書きで原稿用紙一枚分くらい、根気を持って書くのだそう
ひぇ〜
わたしにはとてもできる気がしない
尊敬の一言
ひきた先生がその交流を「文通」と呼ぶところに温もりを感じる
(これまで拝見した動画授業でも、学生との関わりを大切にされていた)

紹介されている「言の葉」から…

“牛になることはどうしても必要です”(夏目漱石)
節目節目を思い出す、わたしにとって馴染みがある価値観

“笑わせた人が勝ち”
ほんとにそう

始めてみたら、と背中を押される
“手が記憶する”(ゲーテ)
“記憶した手で新しいことを作っていく”(井上ひさし)
”言葉でスケッチする”(島崎藤村)
“カンカラコモデケア”
=感動、カラフル、今日性、物語性、データ、決意、明るさ(新聞記者だった山崎宗次さんが編みだした「名文を書く極意」) 

希望と期待
“あすがすばらしい日だといけないから、うんと休息するのさ”
まんが『スヌーピー』(訳・谷川俊太郎)に出てくる言葉

“いま曲がり角にきたのよ。曲がり角をを曲がった先に何があるのかは、わからないの。でも、きっと一番よいものにちがいないと思うの”
 モンゴメリ『赤毛のアン』に出てくる言葉

“出た答えが一番よい”
そうなるように生きます

言の葉が繁っていくよう、わたしも自分の木を育てたい
時に木陰で涼んだり、こもれびに気付いたり
ひらりと舞い降りる一枚の葉と、出会い直す時がくるかもしれない

komorebi [komorebi] picture from Flickr, Thank you